
603.1 Helsinki (finland)
初の北欧である。あまり準備もせず、なんとなく赴いた。今までの旅は、どちらかというとたくさん調べてたくさん自分で判断していく旅であったが、
今回は、完全にお任せで、友達から紹介してもらった方に現地を案内してもらった。
まず、ヘルシンキの空港に到着して、電車で中央駅まで行く。
KIASMA (Museum of Contemporary Art) / Steven Holl http://www.kiasma.fi/
スティーブンホールのキアズマ(フィンランド現代美術館)である。駅前にあり、形が特徴的なのですぐにそれとわかる。私は、正直、Steven Hollが好きかと問われたら
そうでもないと答えるだろう。すべてが嫌いというわけではなくて、なんとなく窓の開け方があまり私の趣味とはあわない。

内部は、白く塗られたコンクリートのテクスチャーが綺麗なのにある種の感動を覚えた。緩やかな曲線で描かれた空間は、ある気品をもっていた。

駅から、湖沿いに少しいくと、アアルトのフィンランディアホールがある。
Finlandia Hall / Alvar Aalto http://finlandia.hel.fi
初めてのアアルトである。そして初めて北欧の光を浴びた建築と対面した瞬間である。
なんともマイナーなショットで申し訳ないが、寒かったせいかあまり写真を撮らなかったらしい。

北欧の魅力の一つとして光があると思うが、それ以上に影が非常に強く映ることにまずびっくりした。
ここちよい影というよりは、光線により焼きついた像のような感じで、上の写真からもわかるとおり、
もはや、建物の存在云々というより、影そのものが建物の姿として現れてくる。
こんなことは、緯度の低い国ではありえない光景だ。

これは、この大きな建物の中でもお気に入りの場所。外壁が木の形沿うようにえぐられている場所。
建築の永遠の美しさとして受け継がれる木と建物の関係を意識したデザインである。
外壁がここまで、素直にかたちどられている作品は世界を見てもめずらしいと思うが、設計者のスタンスとして、
非常に美しいと思う。スカイラインが雲の形に模られるところもなんとなくチャーミングで印象的だ。
Atelier AALTO / Alvar Aalto

アアルトのアトリエである。町から少し離れたところにある。不勉強だった自分にとってアアルトがこんなにたくさん
目の前に出てくるのは、少し消化不良気味であったが、また勉強しにくればいいという気持ちでこのアトリエを訪ねた。
アアルトは、建築家の中でも、比較的年を召された方に好まれる傾向があり、まだ若い自分にとっては、その仲間入り
になることに少なからず抵抗を覚えていた。ただ、将来、自分もこれを好む人間になっていくのだろうなという予感だけは確実にあった。
物事を否定的に捉えるというのは、必ずしも悪いことではない。アンチであってこそ、否定しようと思ってこそ、その作家の
強度を思い知らされるわけで、アンチであるころにこれと出会えたのは、ある意味幸せだったのかもしれない。

こんなところにスタップが通っていたのかと想像すると何か楽しい。

少し歩くと、海に出た。とてもまぶしい。


針葉樹が海のすぐ脇まで迫っているのがなんとなく、面白く感じた。
Finnish Institute of Technology / Alvar Aalto

午後は、ヘルシンキ工科大学を訪れた。そこで、何人かの人と学食で食事をした。
Dipoli Students' house / Reima Pietila

まったくもって不勉強であった私がピエティラの名前を知ったのはこのときが始めてだった。
そして、これを期に私は彼の大ファンになった。大学の図書館にあった彼の作品集をみせてもらったが、すごい才能の持ち主だと思う。
あらあらしい形と、緩やかな天井、つい「この建物を設計したのはだれですか」と聞きたくなる建物でした。
アアルトもまだまだ見ていないのがたくさんありますが、私の中では、アアルト以上にこの人ピエティラの作品に痛く感動を覚えました。

たぶん、ここで食事をしました。幸せな時間でした。

Chapel of the H.I.T. / K&H Siren

広角レンズをもっていなかったので、こんな写真ですが、屋根の架構が特徴ですが、私には、少し知的すぎて、
なんというか、あっさりした建物という印象でした。